認知行動療法を学ぼう世界の大学と病院を歩く丹野研究室の紹介駒場の授業
home世界の大学と病院を歩く2008年国際認知療法会議(ICCP)ローマ

◆2008年国際認知療法会議(ICCP)ローマ 丹野義彦

 2008年にローマで開かれた国際認知療法会議(ICCP2008)に出席した。会場となったのは、トマス・アクィナス神学大学(通称アンジェリクム)であった。「永遠の都」ローマの神学大学だけあって、歴史を感じさせる落ち着いたキャンパスであった。残念ながら、日本から参加したのはわずかであった。本大会は、南欧や東欧に認知行動療法を普及させるための大会であるように思われた。大会の様子を報告したい。


1.どんな学会が、いつ、どこで開かれるか。

学会:国際認知療法会議(International Congress of Cognitive Psychotherapy:ICCP)
会期:2008年6月19日~6月22日
会場:イタリアのローマ
   アンジェリクム、トマス・アクィナス神学大学
   (Angelicum, the Pontifical University of Saint Thomas Aquinas)


2.どんな領域の研究者が参加するか、どんな雰囲気の学会か。

 ICCPは、アーロン・ベックが中心となって作られた認知行動療法に関する国際学会である。現在は、ロバート・リーヒーが会長をつとめている。以前はポール・サルコフスキスやアーサー・フリーマンが会長であった。
 第1回は1986年にウメオ(スウェーデン)で開かれた。
 第2回は1989年にオクスフォード(イギリス)で開かれた。
 第3回は1992年にトロント(カナダ)で開かれた。
 1995年からは、前述の世界行動療法認知療法会議(WCBCT)と合体して、デンマークのコペンハーゲン(1995年),メキシコのアカプルコ(1998年),カナダのバンクーバー(2001年)で開かれた。
 WCBCTと合体してからも、独自の大会を不定期に開いている。
 2000年には、カターニア(イタリア)で開かれた。
 2005年には、ヨーテボリ(スウェーデン)で開かれた。この大会では、チベットのダライ・ラマとアーロン・ベックの対談がおこなわれ、出版されている。
 2008年には、ローマ(イタリア)で開かれた。イタリアでの開催は、2000年以来、2度目である。
 次回は、2011年6月に、イスタンブール(トルコ)で開かれる予定である。
 ICCPは、これまで南欧や北欧といったヨーロッパの周辺部で開かれることが多く、こうした地域への普及を目的としているようだ。


3.学会の規模はどれくらいか。 何人くらい参加するか。

 大会の出席者は500人くらいである。中規模の学会である。
 イタリア人の発表が多いが、東欧の国の人の発表も多い。
 また、認知行動療法や治療についての発表に限らず、基礎的な研究や認知心理学的な発表も多かった。
 会の目的は、認知行動療法の最先端の研究発表の場というよりは、イタリアや東欧への認知行動療法の普及を主眼としているようだ。2004年の神戸WCBCTが日本への認知行動療法普及のターニングポイントになったように、この回は、イタリアへの普及のターニング・ポイントになるのだろう。
 地元の女子学生(大学院生)が大挙して参加して、熱心に勉強しているのが目立つ。

イタリアからの発表について
 今大会は、英語とイタリア語の2つが公式言語であった。英語とイタリア語は、同時通訳が入っていた。
 シンポジウムやポスター発表は、イタリアからの発表者も多い。
 本大会の会長はダビデ・デットレ(フィレンツェ大学)とアントネッラ・モンタノ(ローマのベック研究所)である。
 事務局長は、ガブリエレ・メッリ(フィレンツェの認知行動心理学心理療法研究所IPSICO)である。
 科学委員長は、エッツィオ・サナビア(パドゥア大学)である。
 地元のローマからの発表者も多い。ローマ大学、フィレンツェ大学、ボローニャ大学、ミラノ大学などである。


4.どんな学術プログラムがあるか、その内容で印象に残ったことは。

(1)プログラムの概要

 学術プログラムは、ワークショップ8本、招待講演は18本、シンポジウムは64本、ポスター発表134本であった。
 前回のテッサロニキ大会では、チベットのダライ・ラマを招待して、ベックと対談するという大きな目玉があった。しかし、今回はとくに大きな目玉はなかった。昨年のパリのEABCTでは、フランスでの認知行動療法の現状についての講演があったが、今回はそういう企画もないようだった。

(2)印象に残ったプログラム
 印象的なプログラムをあげてみたい。
 ジェフリー・ヤング(コロンビア大学、スキーマ療法研究所)は、「スキーマ療法:困難な人格障害治療の新しい進歩」と題した招待講演をおこなっていた。この人の発表は、いつもスキーマ療法についてのものである。
 オクスフォード大学のクリストファー・フェアバーンは、「摂食障害の治療研究が示唆するもの」というタイトルの招待講演である。この人の発表も、いつも摂食障害についてのものである。
 カナダのカルガリー大学のキース・ドブソンの招待講演「エビデンス・ベースト・プラクティス・ガイドラインへの移行:うつ病研究を例にとって」はさすがであった。ドブソンは、WCBCT2004の神戸大会で来日して大活躍した。ICCPの次期会長に選ばれているという。
 この講演では、ドブソンのチームが行っているうつ病の治療効果研究(RCT)をたくさん紹介していた。そして、アメリカ心理学会(APA)が作っているエビデンス・ベースト・プラクティス・ガイドラインについて説明していた。APAは1995年に、「経験に支えられた(Empirically Supported)心理学的治療法のリスト」を発表した。いよいよ、エビデンス・ベーストのガイドラインを発表するらしい。これを作成する際には、イギリスのNICE(先端臨床医学研究所)のガイドラインをモデルにしたという。イギリスでは、このNICEガイドラインにもとづいて、認知行動療法治療者3000人養成計画が立ち上がった。実証にもとづく臨床心理学は、いよいよ第2波の流れを形成しつつあることが実感された。日本でもこうした動きがもっと本格的になる必要がある。
 アメリカのジョン・カバット-ジン(マサチューセッツ医科大学名誉教授)が招待され、「医学と心理学におけるマインドフルネス」という招待講演を行っていた。彼自身の29年の体験から、仏教の視点が、西洋人の医学の主流の中に取り入れられているという。仏教の瞑想の体験が健康によいという。瞑想のエクササイズを講演中におこなっていた。仏教の視点を取り入れていて、奈良の大仏の写真が出たり、マインドフルネスは「念」という漢字であるとか言っていた。やや一般的な話題に終始してしまい、マインドフルネス療法の科学的な部分は時間がなくてスキップしていた。彼はなかなか講演がうまく、聴衆の心をよく掴んで講演していた。講演後に、著書へのサインを求める列ができた。私も写真をとろうと思っていたが、忘れてしまった。
 イギリスのポール・ギルバートは、「羞恥心に対する同情焦点型セラピー:進化的アプローチ」という招待講演をおこなった。ギルバートは、イギリスのダービーにあるキングスウェイ病院に勤めている。この人は、2004年に『進化理論と認知療法』(Evolutionary Theory and Cognitive Therapy, Springer, 2004)という進化心理学の本を書いている。丹野研のゼミで輪読をしたことがある。ギルバートは、その後、同情に焦点を当てたセラピー(Compassion-focused TherapyまたはCompassion Mind Training)を提案し、羞恥心や対人不安のセラピーに応用している。今回の講演によると、この方法は、人とうまくやっているところや、人からやさしくされるところ(人からケアされるところ)をイメージする方法という。心拍数を指標として効果を計っている。2時間のセッションを12回おこなうもので、9人が参加したという。うち3人がドロップアウト。
 アーサー・フリーマン(シカゴのガバナーズ州立大学)は、セラピストのメンタルヘルスについての招待講演「われわれは他者をケアするが、誰がわれわれをケアするのか?」をおこなった。フリーマンは、ICCPの会長をつとめたことのある認知療法の創立者のひとりである。また、今年2008年の11月の日本認知療法学会(日本教育会館、大会会長は久保木富久先生)に招待されている。
 フリーマンの講演は、最近亡くなった有名な臨床心理学者マイケル・マホニー教授の死の話からはじまった。セラピストのバーンアウトや同情心疲労(コンパッション疲労)などメンタルヘルスは大きな問題である。セラピスト自身が認知行動療法でバーナウトを避けるように心がけなければならないという内容だった。深刻な内容だが、ユーモアにあふれていて、講演は笑いに包まれていた。とくに、「バーナウトになるためのトップ10項目」といった逆説の話では、会場は大笑いで、拍手もおこったほどだった。
 また、ダッティリオは、「スキーマ概念の発展」と題する招待講演をおこなった。ダッティリオは、イタリア系で、ベックの弟子で、現在、アメリカのハーバード大学の臨床心理士(認知行動療法インストラクター)をつとめている。今回の講演は、生理学などの話も取り入れて、スキーマという概念の研究をまとめたたものである。International Journal of Cognitive Therapy誌に出した論文の内容を発表した。講演後、香港のウォン先生にダッティリオ紹介してもらい、いっしょに写真を撮ったり、名刺交換した。
 マーシャ・リネハンも来ていて、「自殺企図への対応」という招待講演をおこなった。

(3)ワークショップ
 大会初日の一日ワークショップは、以下の8本である。すべてアメリカとイギリスで活躍する認知行動療法家である。
1. ジュディス・ベック(ベック認知療法研究所)「体重減少と維持に対する認知療法」
2. ダッティリオ(ハーバード大学)「カップルと夫婦のための認知行動療法:スキーマ拡大アプローチ」
3. フェアバーン(オクスフォード大学)「摂食障害に対する診断横断的認知行動療法」
4. フリーマン(シカゴのガバナーズ州立大学)「自己愛性人格障害を持つ患者の認知行動療法」
5. ギルバート(キングスウェイ病院)「羞恥心対応と内的同情心を育てる:同情に焦点を当てたセラピー」
6. リーヒー「治療関係におけるスキーマの不適合:治療の障害を変化の機会として利用する」
7. ヤング(コロンビア大学、スキーマ療法研究所)「境界性人格障害に対するスキーマ療法」
8. カバット-ジン(マサチューセッツ医科大学名誉教授)「医学と心理学におけるマインドフルネス:実体験と臨床応用」
 ワークショップへの参加料は180ユーロである(非会員)。最近はユーロが高くなり、1ユーロ170円に達しているので、日本円にすると30000円であり、決して安くはない。


5.有名な研究者でどんな人が参加するか。

 この大会の科学委員(Scientific Committee)には、D・M・クラーク、サルコフスキス、ウェルズ、ウィリアムズといったイギリスの認知行動療法の大物の名前があるが、彼らは誰も参加していなかった。唯一、フェアバーン(オクスフォード大学)が参加して講演した。
 アメリカ人では、ジュディス・ベック、リーヒー、フリーマン、ドブソン、カバット・ジン、リネハンといった大物が参加していた。
 今年の11月の日本認知療法学会(日本教育会館、大会会長は久保木富久先生)に、アメリカのアーサー・フリーマンが招待されている。ローマのICCPにフリーマンも来ていたので、丹野はあいさつをした。この打ち合わせは、今回のICCP参加の大きな仕事のひとつであった。
 大会中に最もよく話したのは、香港のウォン先生であった。ウォン博士は、香港のカイチュン病院の主任臨床心理士で、香港中文大学の助教授も兼務している。香港の認知行動療法の中心の1人である。丹野がウォン博士を知ったのは偶然である。2001年に、丹野は、ロンドン大学の精神医学研究所に留学したが、10月にウォンも精神医学研究所に来ていて、知り合ったのである。丹野は、臨床心理学のカイパース教授が主催する認知行動療法のスーパービジョンの会に出ていた。この会にたまたまウォン博士も来ていて、会が終わってからキャンティーンで長話をした。ウォン博士は、香港出身で、25年前に精神医学研究所に2年ほど留学し、行動療法のトレーニングを受けた。アイゼンクに直接学んだ。当時の精神医学研究所には、ラックマンやホジスンがいたという。ウォン博士との話から、香港の認知行動療法が非常に進んでいることを知った。ウォン博士が議長となって、2005年に、中国認知行動療法学会(CACBT)を作った。そして、2000年から今まで毎年、中国の各地を回って認知行動療法のワークショップを開いて、普及に勤めているという。まさに認知行動療法の伝道師である。毎年、どこかの国際学会でこの先生とお会いする。
 大会中には、ICCPInternational Affiliates Meeting に出席した。
 イタリアのトゥリオ・スクリマリも活躍していた。彼は、カターニア大学精神科で、認知行動療法や精神病理学、心身薬学、科学英語などを教えている。カターニアは、イタリア最南端のシチリア島の第2の都市であり、2000年にICCPが開かれた場所でもある。つまり、2000年のICCPは、このスクリマリが中心で開かれた大会で、彼が科学委員会と組織委員会の会長を務めたのである。彼は、イタリアにおける認知行動療法の先駆者といってよいだろう。ミラノ大学で精神医学を専攻した彼は、医師であり、心理学者、心理療法家でもある。1990年には、認知行動療法を学ぶための学校アレテイアを設立し、校長を務めている。スクリマリは、アメリカやヨーロッパなどでさまざまな研究や教育活動を行っており、ポーランドでは初めて認知行動療法のトレーニングを指導した。120本以上の論文と数冊の著書がある。スクリマリは、15年以上も認知的アプローチを用いた統合失調症患者の治療とリハビリテーションに関わっており、統合失調症についての研究を発表している。例えば、イタリアで初めて行われた統合失調症の治療のための認知的アプローチによる治療マニュアルの統制研究や、統合失調症の新しい発生因モデルの実験的研究などがある。スクリマリは,2001年にバンクーバーで開催された世界行動療法認知療法会議では,招待講演を行い、2003年のヨーロッパ認知行動療法学会では基調講演を行った。2004年に神戸で開かれた世界行動療法認知療法会議(WCBCT2004)でも大活躍し、ワークショップ「統合失調症患者の認知療法とリハビリテーション」を開き、招待講演「こころのエントロピー:統合失調症に対する認知複合システム志向アプローチと治療法」をおこなった。
 今回のローマのICCPにおいても、ワークショップや講演で活躍していた。あちこちのプログラムに顔を出していた。
 東京大学の石垣先生の友人でドイツの心理学者ヴォルフガング・ストラウス氏は、アルコール治療についてのシンポジウムで発表していた。7月にベルリンで開かれる世界心理学会議ICPのシンポジウムに誘ったが、都合がつかず参加できないということであった。たいへん人当たりがよい先生である。


6.日本から誰が参加していたか。


 日本からの参加者は、私を含めて2名だった。研究発表していたのは、早稲田大学の松下さんであった。越川房子先生と佐々木雄二先生との共同研究でポスター発表していた。


7.発表申し込みの〆切はいつか、大会参加費はいくらか。

 発表申込締め切り(ポスター、シンポジウム等)は、2007年12月31日であった。
 大会参加費は、当日非会員が560ユーロで、当日会員が520ユーロであった。
 発展途上国(Emerging countries)から来た人の参加費は310ユーロであり、約半額になる。「Emerging countries」のリストがあり、約200カ国がリストされている。アジア・アフリカが中心であるが、東欧の国々も含まれている(日本は含まれていない)。こういう点からも、本大会が東欧やヨーロッパ周辺部への普及を目的としていることが伺われる。


8.次回の学会はいつどこで開かれるか。

 次回のWCBCTは、2011年にトルコで開かれる。
場所:トルコのイスタンブール
日時:2011年6月


9.学会や大学や旅行で気がついたこと,その他.

トマス・アクィナス神学大学の歴史
 会場となったトマス・アクィナス神学大学(通称アンジェリクム)は、ドミニコ会修道院の敷地に立てられた大学である。ドミニコ会は、1215年に聖ドミニコによって設立されたカトリックの修道会である。ドミニコ会は、アルベルトゥス・マグヌスやトマス・アクィナスといった神学の研究者を輩出したことで有名である。トマス・アクィナス神学大学という名前はそこから来ている。キャンパスの中には、トマス・アクィナスの肖像画が飾られている。
 トマス・アクィナス(1225~1274年)は、イタリアのナポリ生まれで、ナポリ大学を出た後、ドミニコ会修道会に入り、そこで師アルベルトゥス・マグヌスと出会う。パリ大学で神学の学位を取り、パリ大学の教員となった。その後、ローマ教皇から、カトリックの思想を集大成することを求められ、大著『神学大全』を書いた。この書の中で、アクィナスは、キリスト教とアリストテレス哲学を統合し、「スコラ哲学」を完成させた。スコラ哲学はカトリック教会の公式神学となり、長い間、中世の思想の基本となった。アクィナスのスコラ哲学は、歴史的に見て、おそらく最も長い時代、最も多くの人に影響を与えた思想のひとつと言えるだろう。このスコラ哲学を壊すことから、近代の哲学や科学が始まったのである。
 トマス・アクィナス神学大学の卒業生として有名なのは、前の教皇ヨハネ・パウロ2世である。ヨハネ・パウロ2世(1920~2005年)は、ポーランド生まれで、トマス・アクィナス神学大学で学び、神学博士号を取った。1978年ローマ教皇に選ばれた。2005年に亡くなり、新教皇を選ぶコンクラーベ(選出会議)がおこなわれたことは記憶に新しい。この過程を新聞記者の目から報告した本として『バチカン-ローマ法王庁は、いま』(郷富佐子、岩波新書、2007)がある。
 日本にも、トマス・アクィナスにちなんだ聖トマス大学がある。2007年に兵庫の英知大学が改称したものである。
 学生用の掲示板を見たら、トマス・アクィナス大学は、神学部、教会法学部、哲学部、社会科学部という4つの学部からなる。また、聖トーマス研究所と霊性研究所(Institute of Spirituality)が併設されている。また、アンジェリクム大学出版会があり、そこで出されている本が、廊下に展示されていた。
トマス・アクィナス神学大学のキャンパス
 この大学は、古い教会や庭園が並ぶローマの歴史地区の中心にある。大学の周囲は、ローマの古代遺跡であり、坂道を降りていくと、すぐに古代遺跡である。そばに皇帝のフォロやフォロ・ロマーノがある。まさに世界遺産の中の大学といえる。この地区は、上下差が大きく、坂道が多い。
 大学の建物は、16世紀~17世紀に建てられた歴史のあるものである。
 正門の正面には、巨大な霊廟のような建物がある。いかにもローマの中世的な建物であり、この大学の目印になっている。
 中庭は、中世の教会の雰囲気である。
 メインの講義室Aula Magna (Great Hall) は、500名は収容できる大講堂で、中央にキリストの磔刑の彫刻がある。宗教的雰囲気が濃厚である。天井は10メートルくらいある。宗教画やタピスリーがあちこちに飾ってある。聴衆が座る机と椅子も歴史のある古いものである。プロジェクターや同時通訳(イタリア語)の最先端の機器はあったが、冷房施設はないらしく、巨大なパイプ様の冷房機械が外から持ち込まれていた。
 奥には、広い庭園がある。幾何学的配置のイタリア式庭園である。像があちこちにあり、キリスト教の宗教的な象徴が散りばめられている。庭からローマの市街を下に見渡せる。芝生には、学生たちが休んでいたが、僧服を着たり、尼僧の服を着た学生の姿も目立つ。
この大学と認知行動療法はほとんど関係がない。ローマの中心地にある大学のキャンパスということで借りたのだろう。僧服や尼僧服の学生がいる神聖な場所で、世俗的な国際学会が開かれ、一般人が大勢出入りすることには、やや罪深い気もした。尼僧服の女子学生がいる場所に、一般の女子学生が多く参加していたのは、やや奇妙な感じがした。
 この大学は、旅行ガイドブックには全く書かれていないし、このような機会でもないと、中に入って見学できることはほとんどないだろう。たいへん貴重な機会であった。
 プログラムは、午前の部は8:30~13:15であった。昼食に入るのが1時半だったのは驚いた。サマータイムのせいだろうか。
 また、この手の国際学会はランチが用意されていることが多いが、今回はランチは出なかった。会場のすぐ裏に「支倉」日本食レストランがあったので、昼食に行ってみた。

 本大会のロゴマークは、コロッセオを型どっていて、なかなかしゃれている。印象的である。


ページのトップへ戻る