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WCBCTの学術・臨床プログラム

WCBCTの学術・臨床プログラム

次のようなプログラムが組まれます。

1.招待講演、キーノート講演

 多くの業績を上げて、有名になった研究者・臨床家をゲストとして大会に招待して、講演をおこなってもらいます。各領域をリードする研究者・臨床家が45~60分で講演をします。中でも、主賓級のゲストの講演はキーノート講演(基調講演)と呼ばれます。
 講演では、だいたい自分の研究をレビューして、研究のオリジナリティを主張します。その研究者・臨床家がどのような問題意識から研究し、どんなことで苦労し、何を発見したかがわかり、とても勉強になります。英語の勉強にもなります。講演は英語でおこなわれますが、多くの人はパワーポイントを使って、スライドを提示するので、言いたいことはだいたい理解できます。ただし、英語でおこなわれる質疑応答は、理解するにはなかなか骨が折れます。
 講演が終わると、講演者の前に行列ができます。個別に質問したり、コネを作るためです。著名人ほど長い列ができます。

2.シンポジウム、パネルディスカッション

 会員が自主的にシンポジウムを企画します。シンポジウムの企画者は、だいたいその領域のベテランか中堅です。その領域で何が問題になっているかを敏感に察知して企画を出します。
 ひとつのシンポジウムでは、3~6名が話題提供をして、最後に指定討論者が議論をおこないます。話題提供では、ひとつのテーマについて、3~6名がまとまった話をするので、そのテーマの最先端でどのようなことが話題になっているかが見えてくるので、とても勉強になります。
 シンポジウムといっても、話題提供を聞くだけで面白いため、それほど議論が盛り上がらないこともあります。シンポジウムと口頭発表セッションの区別がつきにくくなることもあります。それはそれで良いのですが、開催者が議論を盛り上げたい場合には、シンポジウムのほかに、「パネルディスカッション」とか「ラウンドテーブル」とか「ワールトラウンド」といったカテゴリーを設ける場合があります。ただし、英語で議論が活発化すると、視覚提示が疎かになるため、日本人には理解しづらくなってしまいます。

3.ポスター発表、口頭発表

 一般の会員が発表を申込み、科学委員会が査読をして、発表するに足るものと判断されれば、発表することが許されます。査読の厳しさは会によってさまざまですが、WCBCTの場合は、それほど厳しい審査がおこなわれるわけではありません。ちなみにABCT(アメリカ認知行動療法学会)のポスター発表の査読は厳しく、せっかく申し込んでも、査読に通らなかった人が、筆者の回りにもたくさんいます。
 ポスターの貼り方や在籍時間などは、大会によってさまざまです。
 ポスターを英語で作ったり、抄録を英語で書かなくてはならないので、英語の勉強になります。多くの方は、発表が終わった後、強い達成感を持ち、あるいは「たいしたことではなかった」と思い、また次回のWCBCTで発表しようと思うようです。こうしてWCBCTのリピーターになっていきます。

4.ワークショップ、マスター・クリニシャン・セミナー

 ワークショップは、臨床や心理療法のスキルを身につけるための講習会です。学術研究の発表会ではありません。具体的なアセスメントの仕方,技法の使い方,注意点などがゆっくりと具体的に話されます。たいていは事例の提示がおこなわれます。ビデオやDVDの映像を出すこともしばしばです。スライドや配布資料もわかりやすく書かれています。多くの場合は、エクササイズ(実習)を取り入れます。エクササイズとしては、例えば、グループに分かれてのロールプレイやアセスメント実習、ビデオで事例提示後のディスカッションなど、いろいろなものがあります。
 WCBCTのワークショップの質の高さとわかりやすさは、特筆すべきものです。ワークショップに参加すると、明日からでもすぐに臨床の現場で使えるスキルが自然に身につけられます。配布資料もていねいに作ってあり、それをもらうだけで元が取れたように感じます。
 ちなみに、筆者自身は、2001年のバンクーバーWCBCTでウェルズのワークショップに初めて出て以来、ワークショップの魅力に取り憑かれました。それ以来、日本にワークショップを定着する活動をずっとおこなってきました。最近では、日本でも、臨床系の学会(例えば、日本心理臨床学会や日本カウンセリング学会)では、ワークショップを積極的に取り入れるようになりました。

 ワークショップやマスター・クリニシャン・セミナーは、大会参加費とは別に、参加費を払う必要があります。学術大会とは独立に開かれる「臨床家のための有料講習会」という位置づけであるからです。ワークショップ参加費は、45ドルから110ドルであり、決して安いものではありません。

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これまでの大会の比較

これまでの大会でおこなわれたプログラムの数は下記の通りです。また、大会参加者数も示します。

 過去4回の大会のプログラムを比較してみよう。

 

2001
バンクーバー
2004
神戸
2007
バルセロナ
2010
ボストン
ワークショップ 34本 31本 86本 71本
キーノート講演 3本 4本 34本
招待講演 11本 21本 39本  
ワールドラウンド 12本 5本  
ランチョンセミナー 8本  
教育セッション 3コマ  
シンポジウム 101本 31本 182本 136本
オーラル・セッション 0本 14コマ 51コマ 30コマ
ポスターセッション 363本 200本 890本 860本
公開講座 1コマ  
参加者 2470名 1400名 4000名 2300名
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ポスター発表をしよう

 大会に参加したり、ワークショップに出たりするだけでも大きな収穫ですが、ポスター発表をしたり、シンポジウムを出したりすると、より一層、有意義な学会となります。ぜひ発表しましょう。

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シンポジウムを企画しよう

 神戸大会では、30本以上のシンポジウムが開かれ、そのうち半数以上は、日本人が企画したものでした。バルセロナ大会でも、日本人が積極的にシンポジウムを企画したものがあります。ボストン大会でも、積極的にシンポジウムを企画しましょう。

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