認知行動療法を学ぼう世界の大学と病院を歩く丹野研究室の紹介駒場の授業
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プラハで開かれたヨーロッパ認知行動療法学会(EABCT)の報告 佐藤香織 2003年10月15日

1.大会の概要

 今回の大会の開催地はチェコ共和国のプラハで、開催期間は2003年9月10日から、13日までの四日間でした。大会の主旨は、大会会長Jan Praskoの言葉を引用させてもらうと、“SCIENCE, TRAINING AND PRACTICE OF COGNITIVE BEHVIOR THERAPY “ というもので、認知行動療法の実践的な研究が主体の大会でした。
 参加者は、チェコ周辺のヨーロッパ系の研究者が多く見られました。クラーク、ベック、サルコフスキスなどの「超」有名研究者が勢揃いしており、圧倒されました。韓国などのアジア系研究者の姿もちらほら見かけました。日本からは10名程が参加していたようです。
 プログラムの内容は、1日がかりのワークショップ、三時間程度のミニワークショップ、シンポジウムや基調講演がメインでした。ポスターセッションは在席時間が30分程度で、コーヒータイムと同じ時間帯に設定されていました。
 シンポジウムの内容は、不安障害・統合失調症・抑うつなどの認知行動療法や、認知行動アプローチによる研究などが多く見られました。PTSDや摂食障害、アルコール依存症に関するシンポジウムなどもありました。認知行動療法の治療効果研究や、認知モデルに沿ったメカニズム研究などが多く、被験者はほとんどが患者さんを対象としたものでした。

2.ポスター発表

 海外の研究者の製作したポスターはカラフルでとても見栄えがよく、見習うべきものだと感じました。大きな一枚の紙にカラーで印刷されており、専用の印刷機が日本でももっと手軽に利用できればいいのに、と思いました。

3.言語

 イギリス、アメリカなど英語圏の研究者による講演は早口で聴き取りが難しかったです。しかし、非英語圏の研究者のスピーチは、スピードが遅かったので比較的聴き取りやすいものでした。このことから、非英語圏で開催される国際学会は日本人にとっては比較的参加しやすいことを実感しました。自分は英語力に自信がなく、今回はワークショップを敬遠してシンポジウムばかり参加していたのですが、早稲田大学の方達は積極的にワークショップに参加されており、見習おうと思いました。ワークショップにしても英語圏で開催されるものよりは参加しやすかったかもしれません。今回の学会の一番の反省点でした。

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4.国際交流

 国際学会では海外の研究者との交流も楽しみの一つとなります。積極的に話し掛けてくださる方が多いので、こちらからもどんどん質問などして交流を深めることが大切だと思いました。今回はスロヴァキアの精神科医の方と話す機会があったのですが、私が「スロヴァキアの精神科ではどのような患者さんが多いのですか」と質問したところ、「アルコール依存症の患者が多い。国の伝統によるものだろう」という答えが返ってきました。このように、各国の臨床場面での事情などを知ることが出来るのは有意義な体験だと思います。と同時に、コミュニケーションツールとしての英語の重要性も痛烈に感じるので、修士のうちから国際学会に参加するのはとても良い経験になるのではないかと思いました。

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5.来年度の大会について

 EABCTの来年度の大会に関する情報を以下に挙げておきます。詳しくはEABCTのホームページをご覧ください。

開催地:マンチェスター
開催期間:2004/9/8 ~11

申し込み締め切り
シンポジウム、パネルディスカッション ⇒ 2003/12/31
ワークショップ            ⇒ 2003/12/31
ポスター発表             ⇒ 2004/5/31

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